| ぎょしゃ座にある美しい星雲.これを望遠鏡で実際に見ることができたらさぞ感動することだろう.望遠鏡では,中心にあるぎょしゃ座AE星の回りが若干うるんで見える程度である.この「ぎょしゃ座AE星」というのがまた特別な星である.オリオン座を写真撮影したときに東側に写る星雲「バーナード・ループ」は,200万年前に起こった超新星爆発の残骸とされているが,その超新星がまだ健在だった頃,その周りを公転していたと思われるのがこの「ぎょしゃ座AE星」なのである.主星が消滅してしまったため,オリオン座方面から飛び出し,現在もほぼ真北の方角に猛スピードで移動していることが知られていて,「ランナウェイ・スター (Run Away Star) 」と呼ばれる.この星雲の中心部,ぎょしゃ座AE星付近は,AE星からの直接光を反射して青白く光っていて,少し離れた場所ではAE星からのエネルギーをガスが吸収して赤く光っている訳である.遥かな宇宙での栄枯盛衰を物語る天体で,望遠鏡を覗いたとき,たとえはっきり見ることはできなくとも,宇宙の神秘を感じずにはいられない.距離2200光年.
2002年12月27日 茨城県水戸市千波町自宅にて撮影 SIGMA APO TELE MACRO 300mm F4.0 絞りF5.54 Vixen GP·D 赤道儀 D80mm f560mm ガイド鏡 + ST-V にて自動ガイド BITRAN 冷却CCDカメラ BJ-41L (-18.0 ° C) IDAS Type Ⅲ 三色分解フィルター R,G,B画像は2×2ビニング 露光 L;10分×5フレーム + 15分×1フレーム R,G,B;各5分×2フレーム LRGB合成(総露光時間95分) StellaImage5, Cinepaint & The GIMP にて画像処理 |